日米協調介入の裏側をみる
From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
8月1日、為替の日米協調介入がありました。
このニュースは、
誰もが既に知っていることでしょう。
金融当局とか、本邦当局が行った
などともニュースされました。
ですので、円安が一転、
円高になりました。
まった。
??????
どこ?誰?
何を具体的にしたの?
軍資金はどこにあったの?
具体的に、どうしたのか、
説明したニュースはありませんでした。
為替の介入は、
例えば円安が進みすぎて困っている日本が
4月30日に、日本単独で為替介入をしました。
これだけでは、誰が何をしたのかがわかりませんね?
FAQ形式でまとめてみました。
Q このとき、何をしたのでしょう?
A 11.7兆円のドルを売りました。
Q 誰が?
A 財務省が。
実際に介入の作業をしたのは日銀です。
Q 11.7兆円相当のドルを売るというのは、そのドルは、どこにあったの?
A 財務省が外為特別会計という名で管理しているお財布の中にあります。
Q 財務省は、そんな大量のドルを、税金から調達したの?
A いいえ。大昔から脈々と受け継がれてきた政府の蓄積金です。
過去、円高に苦しんでいた時、円を売ってドルを買っていました。
そうした時代から、ずっと蓄積してきた、お金です。
Q そのお金は、合計いくら持っているの?
A 1兆3千億ドルあります。
Q そのお金で減税したりできないの?
A できません。資産ではありますが、その代償として、借金という負債を
背負っているからです。借金は、短期証券で調達しています。
Q ドルを買う、というのは、紙幣をがっぽり買うのですか?
A いいえ。データの受け渡しで完結します。
Q 誰が、だれの口座に送るの?
A 日銀口座にある円を取引相手に円で送ります。
取引相手は、インターバンクに加入する巨大銀行Aで、
日銀に当座預金口座を作っています。そこに送るんです。
その時点で巨大銀行Aは日本円を手にします。
Q その円は、どうやってドルに代わって、だれに送るの?
A 巨大銀行Aから、日本政府へドルを引き渡す作業を行います。
巨大銀行Aは、アメリカでもインターバンクのメンバーですから
FRBにも口座をもっています。
その口座から、日本政府がFRBに持っている口座に、ドルを振り込みます。
兆を超える大金の円を、同じ価値のドルに換える、という作業は、これで完結します。
Q どれくらい時間がかかりますか?
A ひとつの取引が決済完了するのは、2営業日後です。
T+2と言われる原則で、Tはtrade dateを指します。
Q 11.7兆円は、2日で取引されたの?
A 違います。一発目の取引が終わった段階では、何も発表しません。
Q データの交換だけじゃ、為替は変化しませんよね?
A こんなカラクリがあります。
巨大銀行Aは、円を手にします。これは、インターバンクに入る
民間銀行の義務なのですが、日銀が提示するレートであなたの保有する
ドルを買いとる、という注文を受けるのです。
強制的な指名注文で拒否できません。
この巨大銀行は、一気にドルを失います。円が余ります。そこで、
余った円を売り、ドルを仕入れるため買い回るわけです。いくらでもよい価格で
ドルを買うのではなく、日銀から指定された高値の円高レートでドルを買います。
これが伝搬し、インターバンクでは円高になります。
Q そのインターバンクでの円高が、世間に広まるのですね?
A そうです。第一層がインターバンクで、参加できる銀行は世界の巨大銀行と
中央銀行だけです。第二層が、外為ブローカーと電子商取引ネット、
第三層が個人向けFX会社と信託銀行です。第4層に、ようやく個人や企業がいます。
Q 第1層の為替レートをみて、第二層、第三層、第4層が、
第一層とレートをリアルタイムで合わせようとするわけですか?
A はい、その通りです
Q 日米では、インターバンクを通じてリアルタイムの円高になったとして、
欧州にはどう伝わるのでしょう?
A 日本単独介入では、日銀は欧州へは電話でドル売りを伝えるだけなので、
軽くみられます。今回は、ニューヨークのインターバンクのプレーヤー
である米国の巨大銀行がユーロ売り、円買いの介入を行ったので、
欧州のインターバンクもビックリして円高へと舵切りしました。
これは重要なのですが、米国はドル売りではなく手もちの€をNYで売り、
円買いを行いました。
今回は、ニューヨーク連銀は、ゴールドマンサックスと
モルガンスタンレーを指名して注文したそうです。
結果、ゴールドマンやモルスタを伝って、欧州ではユーロ安、円高となりました。
Q インターバンクに入る米国や欧州の巨大銀行って、どこですか?
A JPモルガンやシティが米国の代表です。バークレイズ、
HSBC、ドイツ銀行、ソシエテジェネラルなどです。
最後の2つのFAQのように、今回は、4月30日と異なり、日米の協調介入でした。
しかも、FRBの中で最も強力な発言力をもつNY連銀が介入をしました。
実は、これが今回最大の見せ場でした。
奥村尚