リスクだけを観てみる(3)
From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
前回は、
1990年初-2026年5月22日までの
日経平均のリスクを数値化し、
その分布を作ってみました。
こんな形でした。

さて、自然現象、
あるいは社会現象で
一番起こりやすい分布は、
正規分布と呼ばれて
親しまれています。
正規分布だとすると、
黒で示した線のような
形になります。
先ほどのグラフと
重ね合わせてあります。

全然異なることがわかります。
1 形からわかること
(1)きれいな左右対称(正規分布)
にはなっていません。
「左側に山が偏り、
右側に長い裾が伸びる分布
(右裾が長い分布)」
ですね。
左に寄った山がありますね。
度数が最も高い
ボリュームゾーン(最頻値)です。
通常12〜16近辺に集中していますね。
ここは、リスクが低い時であり、
頻度が高いので、
その時間が大半であり、
平穏な期間です。
市場の平穏は長いわけです。
そこをはずれると、
頻度は低いけれども、
パニックが起こっている状態
であることが推察されます。
しかしその時間は、
一瞬でもあるわけです。
(2)下限
リスクは、低くなることはあっても
ゼロにはなりません。
リスクゼロ=価格変化がない状態
を示すからです。
価格変動がないと、
市場でプライスを付ける意味すら
なくなるわけですから、
当然ではありますが、
これが価格変動の
下限値です。
(3)「異常に大きな値」の発生頻度
右側にぽつんと存在する、
度数の低いエリアに注目してください。
頻度は低いかもしれないけれど、
ゼロではないのです。
まれかもしれないけれど、
確率的に避けられないことが
確実に起きている
という事実を示します。
恐竜のしっぽの先っちょは、
頻度が大きい部分がありますね。
最悪と思えるような暴落は、
結構な頻度で
起きている事を示します。
テールリスクともいいます。
恐怖心による市場のパニックは、
短期間で急激に収束するという性質が
データから証明できます。
2 投資戦略(実戦)に活かせること
作成した度数分布表の
「累積度数(パーセンタイル)」を
計算すると、
具体的な投資の判断材料になります。
現在の「割安度・割高度」が
数値化できる。
例えば、
現在のVIXが
「分布全体の何%の位置にいるか」
が分かります。
これを計算すると、
こんなことがいえます。
日経平均が、
3/30のような-2.786%の
下落をすることは、
91.5%起きない事象
4/8のような +5.24%の
上昇をすることは、
99.995%起きない事象
また、リスクの範囲で
分類するとこうなるでしょう。
リスクが下位10%のゾーン:
市場は過信状態。
ここからさらにVIXが下がる
余地は少ないため、
オプションの買いや、
株式ポジションの利益確定を
検討する目安になる。
VIXが上位5%のゾーン:
歴史的なパニック状態。
度数分布が示す通り、
このゾーンに滞在する
確率は低いため、
ここからのリスク上昇に
賭けるのは分が悪く、
逆に株式の
「絶好の買い場」
である可能性が高い。
ここまでわかれば、
かなり相場を
数値解析できることになります。
でも残念ながらこの統計は、
暴落した瞬間、あるいは、
大きく上昇した直後に、
事後的に統計計算できるものです。
事前にわかれば、
もっともっと、
嬉しいことが起きるのですけどね。
奥村尚