From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

『今回は、GW中に当たるので、
少しばかり計算式を入れて、

じっくり読める内容に
しようと試みました。

もしエクセルなどを使える人は、
ご自身の手を動かしながら
試していただけると、

興味をもって読み進められるかな
と思います(奥村)』

日経平均の、
毎日の終値を使うと
終値ベースで、

前日よりどれくらい上がった
(下がった)かは計算できますね。

これが、日次騰落率で、
言い換えると日次リターンです。

その日次リターンは例えば、
2026年3月9日を例にすると
こうなります。

前営業日 3月6日の終値 55620.8
当営業日 3月9日の終値 52728.7

騰落率は、
前日からどれだけ落差があったか
の比率なので、

差分を取って前日で割ります。

日次騰落率=日次リターン
= (55620.8-52728.7)/52728.7 もしくは、(55620.8/52728.7) -1
=-0.052
=-5.20%

3月9日は、一日の終値ベースで
-2892.1円という大きな値幅で
下落があった日で、

それは比率で示すと
5.2%を超える下落であったことが
わかります。

下落の原因は、
言わずと知れた、
米イラク紛争の激化です。

この下落は、
過去最大というわけでもありません。

2024年8月5日の
-4451.3円が
市場最大の下落幅です。

この下落の理由は、
米イラク紛争のような

誰が考えても明確な理由
があったわけではなく、

米景気への不安を背景として、
相場の様々な思惑が連鎖し

瞬間的な下落を
呼んだことにあります。

しかしこれとて、
下げ幅こそ過去最大でしたが、
最大の下落率ではありません。

最大の下落率は、1987年10月20日です。
-14.9%。
いわゆるブラックマンデーでした。

この下落も、戦争のような
明らかな理由ではありませんでした。

米財政赤字、貿易赤字の
拡大を嫌気して、

相場の様々な思惑が
連鎖したという点では、
2024年8月5日と似ています。

ちなみにこの時、
前日のNYdowは
-22.6%も下落しました。

さて、
こうした下げの分析を行うとき、

何が理由で下げたか、という
原因調査を一件一件拾うのは、
大変な割に、あまり意味がありません。

その時代、その時の、
なんらかの理由で下げた
というだけでよいのです。

数字をおおざっぱにとらえて、
その捉え方が正しいかどうかを
検証するのを優先するからです。

例えばこんな感じで
仮定の検証ができます。

2026年5月1日の相場を終えて、
-5%を超えて下げた日は、
53回あります。

この日までの営業日は、
20796日ありましたので、

-5%を超えた’大暴落’は、
53/20796= 0.255%
と計算できます。

では、これは理論的に起こる確率と、
どの程度乖離があるのか、
計算してみましょう。

仮に、日々のリターンの分布が
最も計算しやすい標準分布に
なっていると仮定すると、

標準偏差σ= 0.011808121
と計算できます。

このσを使うと、
-5%をこえる暴落が起きる確率
(もちろん机上の理論値)が計算できます。

確率を計算すると、
99.999%起きない、
という数字が計算できました。

つまり、0.001%の確率で起こる
ということでもあります。

これは、一日の発生確率ですから
29796日間での発生回数は、
29796 x 0.001%=0.2

確率計算では
0.2回しか起こらないはずなのに、

現実には53回も起きている
ということがわかりました。

おやおや。

ということは、

確率計算をするために
(ひとまず)置いた、

リターンは標準分布する
という仮定は
(これだけで間違っているとは断定できないのですが)、

現実を適切には表現できていない
(少なくとも、日経平均の暴落を分析するには…)
ということがわかります。

(つづく)

奥村尚