From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

ここ最近、
ドル円レートが揺れています。

過去形ではなく、
現在進行形でもありますが、

揺れた理由はさておき、
円高、円安というニュースが
とても多くなってきました。

あらためて、
円高、円安について
考えてみようと思います。

と言った瞬間、
いくらから円高、いくらから円安?

という、

本当は、
最初に定義しておくべき
事柄につまずきます。

私がTVなどで
ニュースをみている限り、

昨日より円高であれば円高
昨日より円安であれば円安

あるいは、

先週より円高であれば円高
先週より円安であれば円安

という考えに従って
ニュースされているように思います。

実際にニュースされる時は、
僅かの円高ではなく、

1-2円程度の
大幅な変化をする
大きな変化なのですが、

為替で2円だと
大変な変化ですので、

では、たとえば

昨日より2円円高になると円高である
昨日より2円円安になると円安である

という事を
円高/円安の定義と
するわけにもいきません。

仮に、昨年から昨日まで
20円円安になったとして、
先ほどドル円が180円だったとします。

たったいま、

2円円高になって、
ドル円が178円になったら、
円高と言えるでしょうか?

否、です。

単に少し戻しただけの話です。

長期でみるか、短期でみるか、
あるいは、
いくらからいくらに変化したか、

という観点で相対でみているので、
基準がなくなっているのですね。

正しい水準は、
計測できるのでしょうか?

実は、経済学で基本となる
通貨レートの適正基準は、
いくつかの考え方があるのですが、

PPP(Purchasing Power Parity、購買力平価)
という考え方が基本となっています。

スウェーデンのカッセルが唱えたもので、
20世紀初頭に登場した考えです。

これは、同じ商品
(実際には商品の組み合わせ)が、

同じ価格で買えるレート比率が
均衡レートである、
というものです。

たとえば、日米で同じ商品群を選定し、
それが日本で130円、
米国で1ドルで買える場合、

ドル円レートは
130円が正しい比率である
というものです。

生活者としては
大変説得力があるものですね。

IMFが発表する
世界経済見通しのデータを使うと、
PPPを計算できるのですが、

そのPPPドル円レートは、
90円です。

つまり、レートが90円であれば、
日米で同じものを同じ値段で買える。

それ以上、上のレート(たとえば100円)は円安
それ以上、下のレート(たとえば80円)は円高

と判断できます。

いまのレートは155円ですから、
基準レート90円に対して65円も上、
つまり、実力より72% 円安、なのですね。

ス―パー円安の状態です。

ただ、この考えは少し適用が難しく、
厳密には、

購買力平価に基づいた為替レートは、
どのような商品群を計測して比較するかによって
レートが異なってしまいます。

1消費者が市場で購入する商品を用いる消費者物価PPP
2企業が売買する商品を用いる企業物価PPP
3輸出する際の商品を用いる輸出物価PPP

という3つの購買力平価があり、
いずれも総務省、日銀が

定期的に発表する統計から
導くことができるのですが、

それぞれ、
適正レートは、こうなっています。

消費者物価PPP 108
企業物価PPP 93
輸出物価PPP 65

企業物価PPPが、
IMFのPPPと同等です。

いずれにしても、今の実勢レート
約155円(2026/2/2)からみると、
はるかに円高なレートです。

適正レート108円に対して、
実勢レート155円は
44%円安ですね。

旅行者が1ドルもっていれば、
本当の円の実力は108円なのに
155円に換金できる。

44%のバーゲンです。

旅行者が最も物価差を感じるのは
消費者物価PPPですが、

この44%の割引という数字が、
海外の旅行者を惹きつけるのですね。

 

奥村尚