ドル円レートの超長期の歩みをみる
From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
一体、どこまでが円高で、
どこからが円安なのでしょうか?
これを論ずるには、
まず適正レートを
発見する必要があります。
その適正レートより上が円安、
下が円高となるわけですね。
その適正レートは、
私も時々つかう、
2か国の金利差をもとに分析する
金利感応度を使う方法が
数カ月という短期での分析には
適しています。
今回は、もっと長期、
何年という期間を見るときにつかう、
購買力平価をつかってみてみましょう。
購買力平価は、異なる二か国で
同じものを購入したときに、
それぞれがいくらであるかを
現地の通貨で示し、
それを適正な交換レートとする方法です。
リンゴ1個が米国で$1、
日本で140円だったとすると、
1$=140円=りんご1個の価格であり、
交換レート=通貨レートとして適正である、
ということになります。
実務では、りんごではなく、
消費者物価指数(CPI)をつかいます。
この考えで導かれた
購買力平価が示す適正レートと、
市場が決める実勢レートをあわせて、
みてみましょう。

これをみると、
長い期間をかけて円高が進んでいて、
いまはその大きな流れに逆行して
円安方向に振れていることがわかります。
また、消費者物価指数から算出される
適正レートは109円ですから、
109円はらえば
(例えば)米国のリンゴ1個が買えるはずです。
でも、実勢レートは145円ですから、
145円払わないと、
米国ではリンゴが買えない。
つまり、
109円で1$の値打ちがあるはずなので、
実際は145円払わないと1$にならない、
わけですね。
円が過小評価されていることになります。
なぜこうなったかというと、
突然円安に振れて、
赤い線を下から上に横切った時期が
理由を物語っています。
2021年から2022年にかけておきたこと。
米国の中央銀行が、米金利を上げて、
物価高を抑えるように仕向けたからです。
この時期、
日本はまだ物価高ではなかったので、
ゼロ金利のままでした。
いま、米国は金利を下げている最中ですし、
日本もこれから利上げを進めるはずですが、
お互いに非常にスローテンポであり、
まだまだ、いまのレートから下がる(=円高方向)に
進む気配はありませんね。
奥村尚