中東リスクで株価乱高下
From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
米イスラエルによる
イランへの軍事侵攻が始まって
4週目になります。
株式市場も弱含みなのは当然として
戦況に一喜一憂しながら、
大きく値を崩す日が増えてきました。
中東は
世界の火薬庫とさえ比喩されるほど
中東での軍事作戦や
戦争が幾度となく起こってきました。
なんといっても、
世界最大の石油の供給地域ですから、
戦況次第で世界の石油価格も
大きく動いています。
世界で石油が取引される市場は
多数ありますが、
グローバルで指標として
使われているのは、
英国の北海ブレント、
米国のWTIです。
日本でも、
石油価格ではWTIの価格を
必ずニュースで伝えていますね。
いままでの長期的な推移を、
確認しておきましょう。
争いごとを中心に、
グラフにメモを入れておきました。

いかに中東での争いごとで
相場が揺れていたかが
よくわかります。
しかも、
中東での争いごととしては
今回が過去最大の上昇を
果たしています。
1990年のイラクによる
クェート侵攻では、
国連が(形式上ではあるものの)
イニシアチブをとり、
多国籍軍でクェートを救いました。
2003年のイラク戦争では、
米国は陸軍を投入していますが、
英国軍も同調して参加しています。
この2つのケースでは、
石油は値上がりはしましたが、
単価が低い時代であったため、
特に大きな上昇があったとは
いえないでしょう。
中東ではありませんが、
ロシアがウクライナに侵攻した2022年は
石油が激しく値上がりしました。
ロシア自体が
産油国であったこともありますが、
それよりも、
ロシアの石油の取引を
世界中で制限を設けたため、
短期的な品不足に
陥ったためですね。
今回は、
中東のあらゆる国を
イランは攻撃しており、
しかも石油施設まで
範疇に入れている点が、
今までと異なる点でしょう。
上昇するカーブも、
今までよりも急激であり、
ほとんど垂直に上昇している
ようにさえ見えることに、
凄みを感じます。
世界中の株式市場が、
原油価格が激しく上昇するたびに、
株価がガクンと暴落していますが、
案外米国の株式市場は
反応していません。
米国が戦場ではないこと、
米国自身は中東の石油に
頼っていないこと、
米国国内でも
潤沢に油田があること、
などの理由があるためでしょう。
欧州でも、
米国よりはずっと株式市場は
下がっていますが、
日本が最も下落しています。
その背景には、
中東への依存度の高さがあります。
実に輸入石油の96%は
中東からであり、
さらに、
今回イランに封鎖されている
ホルムズ海峡を通過する原油は
中東からの輸入の
90%を超えています。
日本エネルギー経済研究所が
出したレポートでは、
『中東依存度は高いが、
ホルムズ海峡封鎖の可能性は、
あり得ない』
と言い切っています。
(エネルギーレビュー3月号、2025年3月号).
なぜなら、
『自国の輸出入が停止されるわけだし、
中国インドなどの友好国も
ホルムズ海峡を通過するからだ』
と、しています。
いずれにしても、
今から中東への依存を
減らしてゆくことは、
並大抵ではありません。
そうしたこともあり、
株式市場が
過敏に反応しているのでしょう。
とはいえ、
日本の石油備蓄は
10カ月分あり、
民間も合わせると
1年分はあります。
一年間もイラン情勢が
今の緊張したまま続くことは、
考えづらいことです。
他にも、
米国自身が中間選挙をかかえており、
戦費の予算化が
簡単にはいかないなど
いろいろ理由があり、
そう長い時間今の規模で
戦争状態が続くことはない
と観てよいでしょう。
直近、
会話で解決する事を
双方がすり合わせているかのような
ニュースも流れていますが
中東は、
何事でも起こりうるので、
楽観は禁物ではあります。
奥村尚